2024年04月01日
院生紹介(教育学専攻)
人文科学研究科の修了生を紹介致します。2024年3月に修了された付静さんに、大学院での学びについてうかがってみました。
付 静(ふ せい/Fu Jing)
専攻 人文科学研究科 教育学専攻
大学院に進学した理由は
大学院に進学した理由は、中国の師範大学で学んでいた際に、教育学に関する知識が不足していることに気付きました。教育実習を通じて、実際の教育現場での対応力に自信が持てませんでした。その経験から、より専門的な知識とスキルを身につける必要性を感じ、大学院進学を決意しました。
学部との違いは
学部の学習は幅広い分野をカバーし、学生が自分の興味を見つけることを促します。一方、大学院は研究を重視し、自分が興味を持つ分野について深く掘り下げます。興味は個々に異なるため、大学院では学部と比べてより専門的で孤独な環境になることがあります。
大学院の思い出は
最初はコロナの影響で、面接や入学手続きがすべてオンラインで行われ、自信のない私にとっては大きなプレッシャーでした。しかし、大学院課の教職員の温かいサポートのおかげで、入学手続きをスムーズに進めることができました。また、国際交流センターは私のような留学生に生活や学習面でたくさんの支援をくださいました。
- 柴田德次郎先生銅像前で
- 図書館前のイチョウ
大学院の講義で印象的だったことは
大学院の講義で印象的だったのは、即興のディスカッションが中心になっていたことです。異なる文化背景や生活環境を持つ人々が同じ問題に対して議論する光景は、私にとって最も印象的な体験でした。研究が行き詰まった時には、いつも授業から新たなアイデアやインスピレーションを得ることができ、それが私にとって大きな喜びでした。
将来(修了後)について
幼い頃から教師になることを志しており、大学時代に偶然にも『他郷の子ども時代(日本編)』という学校教育に関するドキュメンタリーを見たことがありました。その中で描かれていた日本の学校教育に深い感銘を受け、日本を訪問してより深く理解することを決意しました。修士課程では、キャリア形成支援センターにご紹介いただき、大学近くの小学校で学習支援のアルバイトを経験し、日本の学校での具体的な実践をより深く学び、理解することができました。修了後、私は中国に帰国し、教師として働く予定です。日本で得た知識や経験を生徒たちと分かち合い、彼らに感動とサポートを提供したいと願っています。
- 美しい空
- 夜の学校
今の専門を志したきっかけは?
大学での専攻は就学前教育であり、中国の幼稚園での実習を通じて、男女教師比率の格差などの問題に直面しました。性別に関する固定観念が、この現象の重要な要因であることに気付きました。さらに、教師の数が極端に不足しているため、幼児期に関連する性別に関する知識が後回しにされていることがありました。小学校に進むと、進学のプレッシャーに対処するために、性別の問題は無視されるようになります。一方、日本は、中国と異なり、ジェンダー平等教育が積極的に取り入れられ、性的少数者も社会的に受け入れられるようになりつつあります。このような状況を踏まえ、日本のジェンダー平等教育に関する研究を行いたいと考えました。
大学院で楽しかったこと/大変だったこと
私にとって、大学院生活は喜びと苦労が交錯するものでした。外国人として、日本語能力の向上が最も重要でした。言語は研究の基盤であり、教授と円滑にコミュニケーションが取れなければ、研究が進められませんでした。入学当初は、とても困難な状況にありました。そのため、日本人の友人を作り、コンビニや小学校でのアルバイトなど、積極的に口頭での練習を試みました。ある時、助川教授から「腕を上げたね」という励ましの言葉をいただいたことが嬉しく、更なる努力を決意しました。
以上、付さんに大学院での学びがどのようなものだったかを回答いただきました。
修了後の御活躍を期待しております。
文責:研究科長 松野敏之