公益財団法人博報堂教育財団が主催する第55回博報賞の受賞者発表が10月11日にあり、本学大学院人文科学研究科教育学専攻博士課程修了の石川正明さん(令和6年修了)が博報賞を受賞しました。
博報賞は、児童教育現場の活性化と支援を目的に、学校?団体?教育実践者の「波及効果が期待できる草の根的な活動と貢献」を顕彰する教育実践賞で、「国語?日本語?ことばの育成に関わる教育実践」と「特別な配慮や多様なニーズのある子どものコミュニケーション活動を支援する教育実践」を軸に、6つの領域を対象としています。
このたび石川さんは、6つの領域の中の「国語教育」において、「自己を表現し、他者を認める集団づくり~句会を中心に据えた川柳の活動~」と題する活動で受賞に至りました。柔軟な文芸様式である川柳を使いながら、子どもたちの表現力?理解力を育て、こどばを介したつながりをつくり出しており、ことばが自分を見つめる「鏡」にも、人とつながる「絆」にも、世界を見つめる「窓」にもなることを教える実践であることが評価されました。
石川さんは現在、横浜市立吉原小学校や大学の非常勤講師として教鞭をとっており、本学在学中は小野瀬倫也研究室に所属して、「社会情動的スキルを組み込んだ理科学習評価モデルに関する研究」を行っていました。理科学習において、子どもが科学概念構築をしていくためには、意欲などの情意面や子ども同士が協働するなどの社会面からのアプローチによる学習が有用であることは明らかとなっています。しかし、認知面、情意面、社会面が、どのように関わり合って子どもの学習を促進しているのかについての研究は未解決でした。その内容を明らかにして、どのように教師が授業をデザインすればよいかについて研究としてまとめました。
今回の受賞を受け、石川さんは「国士舘大学で学んだことが、今回の実践の分析や子どもの見取りに繋がっています。活動の中で子どもの意欲や主体性をどのように引き出し、どのように成長を促してきたのかを多くの人に伝えることができたと思います。大学院での研究は理科教育でしたが、この研究は理科だけでなく様々な学びに適用できます。その一端を伝えることができました。これからも日本の教育の向上に少しでも寄与できるよう精進してまいりたいと思います」と述べました。