2020年12月15日
第31回模擬裁判をオンラインで開催しました
12月5日、本学法学会は第31回模擬裁判をZoomを使用したオンラインで開催し、法学部1年生および教職員約400人が参加しました。今回のテーマは「この子のお父さんはどっち」。事実上の親子と法律上の親子が一致しないことを理由に、子どもを原告、妻を原告法定代理人、元夫を被告として争われた親子関係不存在確認請求事件に脚色を加えて模擬裁判を構成しました。
開会のあいさつで飯塚真法学部長は参加する1年生に対し「模擬裁判は法学部創設当時から行われている、学生を主体とした伝統ある行事。毎年テーマを選定し法律討論会と隔年で開催している。法学は社会科学の一分野だが、『根拠を見つけて自分の考えを正当化し、異論を持つ人と議論する』という文脈をもつ裁判こそが、法学を科学たらしめているといえる。裁判というものをこの機会に学んでほしい」と伝えました。
まず実行委員の学生により制作された再現ドラマが配信され、学生の興味が一気に事件に惹きつけられました。そして、人事訴訟の流れに沿って、口頭弁論や弁論準備手続き、当事者尋問、最終弁論などの法廷シーンが配信されました。合間に争点の整理などの解説も入り、法律の勉強を始めた1年生にもわかりやすいように進められました。そして最後には実行委員で導き出した判決が言い渡されました。
模擬裁判終了後に、担当教員である五島京子教授は「判決は実行委員の意見を反映してよいと伝えたが、1年生には判例の立場を学んでほしいとの実行委員の意向で判例と同様の結論になった。一見誰でもわかりそうなことだが、法律上と事実上の親子関係の違いをもとにした判例は多く、世界中で議論になっている。親を法律上どう決めていくかについて考える機会になればうれしい」と話しました。加えて「今回は初めてZoomでの開催となった。今年だからこそできる模擬裁判をと実行委員が頑張り、シナリオや資料、映像の作成など見事にやりきってくれた」と実行委員らを労いました。
参加した学生からは「自分の予想とは違った判決が出て、もっと法的考え方などを勉強したいと思った」「法律は文章だけで伝わりにくい部分が多々あるが映像にすることによってとても伝わりやすかった」「リモートであるにも関わらずここまでのクオリティの高さは素直にすごいと思った」など賞賛の意見が多く聞かれました。
当日は実行委員らが世田谷キャンパス中央図書館6階のワークステーションに集まり、Zoomで司会進行や映像配信などを行いました。
- 当日の実行委員本部の様子
- 当日世田谷キャンパスに集まった実行委員