2021年12月01日
政治研究所主催の講演会「公務員の仕事とやりがい」を開催しました
本学政経学部付属政治研究所が主催する講演会が、11月26日に世田谷キャンパス8号館501教室で開催されました。
今回の講演会は主に学生を対象に、元警察庁近畿管区警察局長で財務省四国財務局長の鶴谷明憲氏を講師に迎えて行われ、会場に集まった学生、教職員ら約80人が聴講しました。
鶴谷氏は、警察庁捜査二課や暴力団対策課での課長補佐、組織犯罪対策部3部門での課長、特捜研所長をはじめ、栃木、兵庫、和歌山、大阪の4府県警察でそれぞれ課長、本部長を務め、また国税庁での実査官、在タイ日本大使館一等書記官、内閣情報調査室国際部総括を歴任するなど、元警察庁幹部であり官僚としての多岐にわたるキャリアも持つ人物として、自身の経験にもとづき「公務員の仕事とやりがい」と題し講演しました。
警察組織について、採用後の育成から基本的な業務内容、警察庁と都道府県警察の違いや、部門ごとに仕事の内容が大きく変わること、時流によって新規業務が頻発する、合理的な人事編成が特徴的といった警察特有の内部の仕組みを解説しながら、鶴谷氏は「公務員の仕事は、専門家(スペシャリスト)とジェネラリストの役割分担がはっきりしている。警察官では専門家を目指す人が多いが、ジェネラリストを目指すなら幅広い業務を学ぶ必要がある」など、警察官としての心構えやその魅力を語りました。
また、警察行政において、時代の変化や要請によって司法や立法にも変化が起きることや、公共の安全や秩序維持の達成のためにどのような変遷があったかについて、実際の事件や判例をもとに説示しました、さらに検察との関係の歴史や官庁間協力といった幅広いトピックについても、犯罪検挙数などの統計資料や国内財政状況のグラフを参照しながら、警察、官省庁をはじめ公務全般において、時代とともに変化していく市民の生活や社会情勢に合わせて現場の仕事に複雑化が生じている現状にも触れました。
講義終了後には、聴講した学生からウェブ経由で質問が寄せられ、鶴谷氏は豊富な経験の中から、公務員としてのやりがいだけでなく、大使館在任中の困難だったエピソードに触れながらも、「安全、健康、心の平安、幸福といった人々の基本的な願いに寄り添い、国の未来像のためのかじ取りをするのが警察の役割」と思いを述べていました。
- 講演中の鶴谷氏
- 司会を務めた石見豊教授(左)
- 講演の様子
- 講演の様子