2024年06月17日
建築学系の1年生が世田谷キャンパスでハンディキャップ体験を実施しました
理工学部建築学系1年生の必修科目「建築基礎演習」で6月8日、学内ハンディキャップ体験を実施しました。本科目は建築学系の初年次教育であり、全15回のうち2回の授業(3?4限)を使って、本学系3コースの一つである建築福祉?医療コースに関する理解を深めることを目的に毎年実施しています。3年次履修科目「建築と人間工学」も兼ねており、履修する3年生がグループをまとめました。普段生活するキャンパス内を歩き、障がいのある当事者への理解を深めながら物理的なバリアの存在とその解消法について考える機会としています。
当日は10グループに分かれ、車いす利用者(頸椎損傷)、視覚障がい者(全盲)、高齢者の3つの疑似体験装具を身につけて学内を回りました。介助者、記録者、計測者などの役割も決め、各建物の出入口や多目的トイレを中心に、階段の段差や踊り場の幅、手すりの高さなどを計測したり、体験した感想を話したりしながら進みました。学生らは「白杖を持っていない側の空間に不安を感じる」「ゴーグルを通してみると視界が悪く、スポットライトが極端に眩しく感じることがわかった」などの感想を口にしていました。田中千歳研究室?寺内義典研究室の学生がキャンパスの各チェックポイントに立ち、「床の色が違うことで段差があることがわかるように工夫されている」「手すりが階段中央にあるのは半身まひの人には有効」「多目的トイレがアクセスしやすいフロアに設置されているか」など、調査、計測のポイントを助言しました。
点検後に教室に戻った学生らは、校舎マップを広げ気づいた点をまとめる作業を行い、最後には各グループの発表が行われました。学生からは「利便性のためのマットが他の人のバリアになっていることに気づき、誰にとっても使いやすい方法を実現することの難しさを感じた」「人の助けを借りずに動くことができる施設づくり、仕組みづくりが重要」など、体験を通して得られた感想や各建物の使いやすさ、気づいた課題など建築の視点からさまざまな意見が出されました。
田中教授は講評で「福祉とは自分以外の人の立場に立って考えること。空間?環境という大きなものを相手にするのが建築であり、建築に携わる者は、自分の引いた線一本がユーザーの使いやすさに繋がってくることを自覚してほしい」と話しました。
- 介助の注意事項を説明する寺内教授
- 車いすを横向きにつけてボタンとの距離を縮める方法を研究室の学生が説明
- ゴーグルをつけてボタンの文字を確認する
- 床面の色や点字ブロックの敷設幅を確認
- 車いす利用者目線でテーブル?椅子の配置を考察
- トイレ入口の段差を計測
- 手すりの位置や高さ、昇降機の利用しやすさについて研究室の学生が解説
- グループごとの発表の様子
- 計測結果や気づきを書き出した
- 指導に当たった寺内教授と田中教授