2023年07月14日
卒業生紹介(考古?日本史学コース)№1
考古?日本史学コースでは、博物館学芸員の資格を取得することができます。毎年、その資格を活かして文化財保護の最前線で活躍する卒業生が輩出されています。今回は、2019年の卒業生を紹介します。
森 敏彰(モリ トシアキ)さんは、2022年4月から、公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団で埋蔵文化財の発掘調査に従事しています。学生時代から考古学研究室に所属し、夏と春の長期休業期間は実際に発掘調査に参加し、学内では出土品の整理作業に熱心に取り組んでいました。また、研究室の部長として、学生50数名のまとめ役でもありました。
2019年3月 国士舘大学文学部 史学地理学科 考古?日本史学専攻 卒業
2019年 タマムラデリカ株式会社 就職
2020年 株式会社 一測設計 就職
2021年 公益財団法人 茨城県教育財団 期限付き職員として入職
2022年 公益財団法人 埼玉県埋蔵文化財調査事業団 入職
現在に至る
大学で考古学を専攻した理由
小学生のころから、歴史が好きだったためです。家族が歴史好きで、旅行の際には博物館や史跡をめぐる機会が多くありました。
教科書では知ることができなかった、古墳や史跡から出土した遺物の数々を見たときは、子供ながら感動したことを今でも覚えています。
在学中思い出
夏休みと春休みに行う、考古学実習が非常に印象的です。3週間ずつ行う実習は、遺跡の発掘や出土品の整理など、座学だけでは得ることができない貴重な経験でした。
また実習でともにする同期や先輩、後輩。実習先でお世話になる地方行政の方々や住民の皆様。そして考古学研究室OB?OGの皆さんなど、実習では多くの方々と関わる機会に恵まれました。私たちが多くの方々との関わりのなかにあることを再認識する機会でもありました。
進路を決定する上で考えたこと
学生時代、考古学関係の仕事に就きたいと考えていました。しかし一方で、これからも考古学の道を続けることができるかどうか、自信が持てずにいました。
結局自信が持てず、卒業後は一般企業に就職しました。仕事をしながら1年半頃過ぎたある日、「これでよかったのだろうか」と自問する日が続きました。悩みに悩んだ結果、「大学で学んだこと、経験したことを活かしたい」、「考古学の道に進みたい」という思いに気づき、卒業した2年後に考古学の道に進むことを決心しました。
現在の仕事について
公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団にて、遺跡の発掘調査を行う調査員の一人として、日々遺跡の調査?記録化に励んでいます。
調査する遺跡は、1つとして同じものはありません。時代や遺構数、規模などが異なり、その遺跡が持つ性格?特徴もすべて異なります。そして遺跡は簡単に、「答え」を出してはくれません。土の特徴や出土した遺物などの「ヒント」のみであり、その「ヒント」を理解するためには、経験と知識が必要になります。
日々、遺跡の調査に携わることにより「経験」を積み、論文や先輩職員のアドバイスなどにより「知識」を得る、常に研鑽の毎日は、非常に充実したものです。
後輩たちに一言
多くの皆さんは、これまでの人生で何かしらの後悔を感じたことがあると思います。そんな後悔の中でも一番後悔するのは、何も行動せずに、結果がわからないまま終わってしまうことです。私の場合は、自信がないという理由で卒業後2年間考古学から離れたことを今でも後悔し続けています。
重要なことは、どんなことでもまず行動に移すことです。失敗を恐れず、行動に対しての結果を素直に受け入れる。その経験が自身を強くしていくはずです。
人生は一度きりです。今しかできないことも、たくさんあります。そのような機会を逃さず、悔いのない学生生活を送ってください。
以上、森さんには、多くの思いを寄せていただき、感謝いたします。受験生?在学生はもちろんのこと、卒業生のみなさん、ぜひとも参考にしてください。
文責:考古?日本史学コース 眞保昌弘
- 栃木県考古学会での発表(大学3年)
- 考古学実習での一コマ(大学3年)